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二日灸(ふつかきゅう)とは?

あまり耳にすることのない行事なので、ご存知ない方も多いかもしれませんね。

二日灸とは、旧暦の2月2日、新年になって初めてお灸をすえる行事です。

「二日やいと」「如月灸(きさらぎやいと)」とも呼ばれています。この日にお灸をすえると、その効果が倍増すると言い伝えられており、悪病災難除けのおまじないとして行なわれてきました。

お灸自体、現在ではなじみの薄い方もたくさんいらっしゃるでしょう。東洋医学のひとつで、昔は広く親しまれていた治療法でした。子どもを怒ることを、「お灸をすえる」なんて言ったりしますよね。

二日灸は、俳句の季語としても登場し、「春の灸」と呼ばれています。また、旧暦8月2日にも同様に、邪気を祓い無病息災を祈願してお灸を据えます。そのため、一般的には年2回行なうとされています。

2説の由来について

二日灸の由来は、はっきりとは分かっていません。有力視されている説は2説あります。

一つは、季節の変わり目に無病息災や豊作などを願う「節句」に由来するというものです。季節が変わると体調を崩しやすくなりますので、その予防としてお灸で身体の調子を整えようとしたのかもしれませんね。

もう一つの説は、中国からやってきたおまじない「天灸」に由来するというものです。天灸は、子どものおでこに「×」などの印をつけ、無病息災を祈ります。

どちらの説にしろ、健康に過ごすための行事だったのですね。

俳句の中の二日灸

今でこそメジャーでない二日灸ですが、かつては俳句にも詠まれるほど一般的な行事でした。

例えば、小林一茶は「かくれ家や猫にもすゑる二日灸」と詠んでいます。猫にお灸をしてあげようなんて、ちょっとお茶目なところがありますね。想像すると、とても気持ちが和みます。

また、正岡子規も何句か詠んでおりますが、一つ上げますと、「花に行く足に二日の灸(やいと)かな」というものがあります。現在では様々な種類のお灸があり、跡が残らないタイプも多いのですが、この時代は残るものが主流だったようですね。

跡があっても、「花を見に行く」となんだか浮き足立った様子がうかがえ、こちらまで楽しくなってきます。身体の調子が良さそうで、二日灸をすえた効果が出たようですね。

江戸時代の医学書にも登場

今からおよそ400年前の江戸時代、庶民の家の多くは、お灸の原料「もぐさ」を常備していました。

当然、二日灸もよく知られた行事で、それは医学書の研究で有名な貝原益軒も、自書「養生訓」の中で、こう述べています。

「脾胃(胃腸)が弱く、食が滞りやすい人は毎年2月・8月に灸をするとよい」

ちょうど厳しい寒さや暑さが和らぐ時期ですね。二日灸はおまじないと捉えられていますが、実際のところ、お灸には優れた体調改善効果があるのです。

二日灸を試してみる

最近は、ドラッグストアなどでも手軽にお灸を購入できるようになりました。とはいえ、初めてのお灸は少し不安ですね。

私も初めてすえた時は、火傷するんじゃないかとひやひやしていました。火が直接肌に触れない「台座炎」であれば、初めての方でも試しやすいですよ。

また、お子さんと一緒に行なう場合、お子さんのツボを刺激するには、お母さんの手でも十分ですよ。大人の場合はお灸ぐらいの熱さが必要ですが、子どもは血の巡りが良いので、手の温度でも気持ちのよい刺激になります。

親子でゆったりリラックスして、二日灸を楽しんでみてはいかがでしょうか?

お灸には歴史と伝統があります

お灸の歴史は意外に古く、3000年以上も前の中国にさかのぼります。最古の記録は、前漢時代に編集された「黄帝内経」にあり、日本には飛鳥時代に伝わったと言われています。 その後、平安時代になると治療法として確立し、その技術は現代にまで受け継がれています。

どうして身体に良いの?

お灸には、2つの効果があります。1つは、様々な症状を改善すると言われるツボを刺激することです。「黄帝内経」によると、人体には365個ものツボがあるそうです。そんなにたくさんあるとは、鍼灸師が症状によって細かく打つ場所を変えるのにも納得ですね。

もう1つは、お灸の熱さによる身体の温熱効果です。熱いと言っても、やけど跡が残るような熱さではなく、白血球を活発化させる程度の温かさです。白血球が活発に動くことで、免疫力があがる仕組みになっています。

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